歯磨きの回数と時間

当たり前のように行っている歯磨きですが、回数や時間について意識をしたことはあるでしょうか。そもそも歯磨きは、「口内を清潔に保つ」ために行います。口内に糖分が入ったときに、歯垢の中にいる細菌の活動が活発になります。これにより細菌が酸を作り出し、歯を溶かしてしまいます。歯のエナメル質は、ph5.5以下で溶けはじめます。細菌の活動は食事をしてからすぐに行われ、しばらくの間は続くため、食事をしてすぐに磨かなくてはなりません。そのため、一日三食を基本としている日本人は、同時に「一日に三回の歯みがき」も推奨されているのです。特に就寝中は唾液が少なくなり、虫歯になりやすい状態です、眠る前には歯間ブラシやデンタルフロスなどを併用することが理想的です。
歯磨きの時間は3分以上とされていますが、厳密には決まった時間はありません。これは「1ヵ所につき20回以上を磨くこと」が推奨されているために、3分以上は掛かるだろうという計算です。丁寧に歯磨きをする場合には、さらに時間が掛かります。歯磨きをするときには時間ではなく、全ての歯にブラシを当てる、磨き残しをしないことを意識する必要があるでしょう。
歯磨きをするときには、力を込めて磨く必要はありません。正しい角度でブラシを当てることができれば、軽い力でも歯垢を落とすことができます。逆に、力を入れて磨いてしまうことで歯茎を傷つけてしまうことや、歯茎の下にある歯の根元(象牙質)を露出させて知覚過敏にしてしまう可能性もあります。歯ブラシも痛みやすくなってしまいますので、力を入れ過ぎずに、小刻みにブラシを動かして歯磨きをしましょう。大人であっても間違えた歯磨きをしている人が多いそうです。一度、歯科で相談してみましょう。

矯正中の磨き方

歯の矯正を行っている時は、歯に器具がついた状態になりますので、食べかすなどの汚れが挟まりやすくなっています。汚れがあれば虫歯になることも多く、もしも虫歯ができた場合には虫歯治療が優先され、矯正の期間が長引いてしまう場合もあります。普通の歯ブラシでは落としにくい場合も多いので、専用の歯ブラシを使うことがおすすめです。装置の上下を磨くことのできる二列の歯ブラシや、ネックが内側に傾斜している歯ブラシ、ブラシ部分にくぼみをつけてワイヤーとブラケットを覆うように磨くことができる歯ブラシなど、用途によっても使い分けることができます。使う歯ブラシは専用の物になりますので、歯科で相談をしてみましょう。普通よりも歯磨きが難しい状態ですが、磨き残しがないよう注意をしましょう。
矯正中の歯磨きは、装着した装置を意識して磨くことが大切です。一般的な方法としては、まず歯ブラシを矯正装置の上に垂直に当て、接している部分を丁寧に磨いていきます。次に歯ブラシを矯正装置の正面に当て、小刻みに動かして汚れを落とします。矯正装置の下からもブラシを当て、同じように磨いていきます。最後に歯間ブラシを矯正装置の内側に差し込んで、装置と歯の間の汚れを落としていきます。歯ブラシ以外にも併用をして、鏡で見ながら進めていくことがおすすめです。
矯正以外にも、歯の治療としてブリッジという器具が使われることもあります。ブリッジは抜けた歯の両隣の歯を土台にして被せることで、人工の歯を補う治療方法です。人工的に歯を作っている状態ですので、ブリッジの間には、矯正器具と同じく汚れがたまりやすくなります。サイズの正しい歯間ブラシなどを活用して、磨き残しがないよう注意をしましょう。

乳児期から学童期の注意

歯や歯茎の状態は年と共に変化をしていき、合わせたケアも行わなくてはいけません。
乳児期は、8ヶ月頃から乳歯が生え始め、3歳になる頃には上下でそれぞれ10本ずつ生え揃います。虫歯の原因となるミュータンス菌は大人の口内に存在します。唾液を介して大人から子どもに移りますので、同じスプーンを共有しないなどの工夫が必要です。同時に、親のオーラルケアを見直す機会にもなりますので、大人であっても口内を綺麗にする意識を持っておきましょう。この時期の子どもは歯ブラシに慣れる必要があるので、トレーニングも必ず行いましょう。6歳の辺りから、永久歯への生え変わりが始まります。28本(親知らずを除く)の永久歯が揃うまで、6年から7年掛かります。永久歯が生えたばかりの時には、虫歯になりやすいとされています。永久歯が生えたにも関わらず乳歯が抜けない、歯肉炎が起きているなどの異常が起きていて、生え替わりがスムーズに行えないという場合もあるそうです。定期的な健診はもちろん、自宅でのチェックも欠かさないようにしましょう。あごの発育が不十分である場合や、虫歯などで早く乳歯が抜けてしまった場合には、歯並びが悪くなってしまう可能性もあります。これから永久歯が新しく生えるからといって、ケアを疎かにしないようにしましょう。子供のうちは、周りの大人が意識をして、正しいケアを習慣付けさせる必要があります。
歯の栄養としては、カルシウムやリンが挙げられます。これは乳児期に限らず、親の妊娠時から多めに摂取をしておきましょう。牛乳や小魚などに多く含まれます。同時に、カルシウムを効率良く吸収するためにビタミンDの摂取も推奨されています。イワシやサンマなどの魚に含まれることが多いそうです。

定期的な歯科健診

歯や口内に痛みや違和感があれば、歯科で受診をしようと考えるのが一般的です。しかし、問題がなければ歯科に行かなくてもいいというわけではありません。歯と口内の健康のために、歯科健診は定期的に受診した方が良いでしょう。自分で見て問題がないと思っていても自覚症状がないという場合も多いそうです。半年に一度、長くとも一年に一度は受診しましょう。
歯科健診では、さまざまなチェックを行っています。まず、分かりやすいもので歯のチェックがあります。虫歯は、歯の間や裏など自分で見えない位置にもできやすく、放っておけば広がってしまうために早期治療が必要となります。虫歯がないという場合でも歯垢(プラーク)がたまっていることもあります。歯垢がたまった状態では虫歯や歯周病の原因になりますので、取り除いてもらいましょう。歯石は、染め出しなどでチェックができます。これにより、どこに歯垢が付きやすいかが分かりやすく、今後の歯みがきの参考にもできるでしょう。歯の状態と合わせて、歯茎の状態も行われます。歯茎(歯周ポケット)が状態では歯周病になりやすいため、必ず確認をしてもらいましょう。
他にも、歯科では口内に関する相談に乗ってもらえます。特にブラッシングについては、人によって歯並びや磨き方の癖が違うために、しっかりと指導をしてもらう必要があります。歯ブラシだけではなく、歯間ブラシやフロスなど補助的な物の使い方も学んで、正しい歯のケアを身につけましょう。口内だけではなく、歯科によっては顎関節症などの噛み合わせ、嚥下(飲み込むこと)についても確認してもらえるそうです。歯科によって得意としていることも違っていますので、相談の前に電話などで確認してみると良いでしょう。

歯の磨き方

歯ブラシをする時のポイントとしては、なるべく歯ブラシを歯に密着するような形でくっつけるということが重要だと聞きます。特に、歯ブラシの先っぽの部分を歯茎に当てた上で丁寧に力を入れずにゆっくりとブラッシングをしていくことが理想のブラッシング像と言えるかもしれません。

また、多くの人が気づいていないことですが、歯ブラシの先っぽを歯茎の根元のポケットと呼ばれる部分に当ててブラッシングをすることで、プラークがたまりやすい部分をしっかり丁寧に掃除しておくことも必要です。

このようにして磨いていくためには、自分自身の適切な歯ブラシの角度を見つける必要があるわけですが、最初のうちはなるべく歯茎に歯ブラシを当てるという意識を持ってブラッシングをすることが一つのコツと言えるでしょう。

歯周ポケットと呼ばれるものを、綺麗にしておくことで歯周病や虫歯などを適切に未然に防ぐことができるということは確実に言えるでしょう。歯周ポケットは、歯の生えている向きに従って狭くなっているため慣れない限りはなかなか一度でこの部分を磨くことは難しいため、骨に従って何度も何度も繰り返していくことがおすすめだと言えます。また時には歯ブラシを捻って使うということも重要だといえます。歯ブラシをねじることで、毛束の先を小さくすることができればより細かい場所まで掃除をすることが可能になってくるわけです。特に、奥歯などの鏡を使っても見えないような場所を磨く際には、歯周ポケットにしっかりと歯ブラシの先を届かせる必要があるわけですから、このようにして自分自身の感覚に従って磨いていくということが重要だと言えるでしょう。このような狭い場所を磨く際に特に重要となってくるのが、あまり大きく歯ブラシを動かす必要はないということです。汚れをしっかりと落とすためにはこまめに少しずつ震わせるようにして磨いていくということが重要だと考えられます。

歯ブラシの活用法

歯ブラシの扱い方について考察をしている、インターネットサイトやメディアの情報などはほとんど見られず、どちらかといえば、どのようにして歯ブラシを販売するのかという点に重きを置いてしまっているものが多いのは致し方のないことなのかもしれません。

実際に、歯ブラシをどのようにして使っていけば良いのかということは、やや難しいという風に考える人もいるかもしれませんが、ある程度決まった使い方があるということを知った上できちんとそれを守って使っていくことが健康的な歯を保つコツだと考えています。

しっかりと毎日手入れしているのにも関わらず、歯科衛生士の所で検査をしたところを磨き残しが見つかったなどという人などは、自分自身が磨く際の誤ったクセが影響している可能性があると言えるかもしれません。自分自身で自分の歯を触ってみるとわかることですが、全くと言っていいほど歯の表面は平坦ではなくでこぼこになっており、この部分を歯ブラシで一本一本丁寧に磨いていかなければなりません。

歯ブラシを歯に当てる際にも、毛先をどこに向けるのかということがとにかく重要になってきており、自分自身が痛みを感じない範囲で一つ一つを丁寧に磨いていくということがとにかく重要になってきているということは間違いないと考えてよいのではないでしょうか。

噛む力と生きる力

歯磨きという行為は、口腔内を清潔にし、むし歯や歯周病といった感染症を防いでくれるという効果が期待できる行為です。それに付随して、健康な歯を保ち、自身の歯で食物を「噛む」ことによって得られる効果の重要性が注目されていると言われています。例えば、ほとんど寝たきり状態だった人が、自分の歯で食事ができるようになった事で、奇跡的に歩行ができるようになるまで回復したという事例があると言われています。これは、歯磨きをする事によって手や指を動かすだけでなく、歯の健康を取り戻し、噛むという機能を保つことで脳が活性化され、寝たきりや認知症の予防・治療にもつながると考えられているようです。この時に大切なのが、自分の健康を自分で守るという目的と意志と言えるでしょう。歯医者さんに言われたからとりあえず磨いとくというような曖昧な習慣は、セルフケアとして成立しないと言えるでしょう。また、第一に継続が困難であるとも言えるでしょう。歯が全て抜け落ちていない限り「時すでに遅し」ということはありません。これまで歯に向き合ってこなかった点を自覚し、反省し、これからの自身のあり方を目的に昇華させて習慣化することが大切と言えるのではないでしょうか。その意志というのが、目標達成への一番の力になるとも言えるでしょう。歯の健康を取り戻し、自身の歯で「しっかり噛んで食事をする」ことにより、人生はもっともっと楽しく、美しいものになると言えるのではないでしょうか。未来予想図が予想図のままで終わらないよう、目的意識と自身の意思を忘れずに歯磨きすることが、最大の健康管理であり、何よりのセルフケアになるのではないでしょうか。

歯磨き本来の意義

毎回の食後のケアとして、歯に着いてしまった食べカスをただ洗い流すということだけが歯磨きの意味とは言えないでしょう。表面的には綺麗になったように見えても、根本の汚れを落とせていなければ、歯磨きをした意味はないに等しいと言えるからです。では歯磨きの意義とは何なのかを考えて見ていきましょう。
①生涯の健康生活を自身で管理する
「セルフケア」という言葉をよく耳にしませんか?健康維持のために、最も身近で、かつ生活に密着しているものが、まさしく「歯磨き」と言えるでしょう。私たちは、物心ついた頃より歯磨きを覚え、ほとんどの人は一生続けていくものと言えるでしょう。生涯健康な歯を保ち、自分の歯で食事を楽しむということは、健康維持や生活の質を保つためにはとても重要なコンテンツと言えるでしょう。歯医者さんに行くことも大切なケアと言えますが、健康な生活を続けていくためにもっと大切なセルフケアは「歯磨き」であると言えるでしょう。
②感染病予防
「歯磨き」という言葉から連想される病気は、むし歯や歯周病ではないでしょうか。これら口腔内の病気の原因に効果を発揮するのが、口の中の細菌を除去することではないでしょうか。綺麗にしているつもりでも、普段、私たちの口腔内には多くの常在菌が棲み着いていると言われています。食ベカスなどは、このような細菌の繁殖しやすい環境となってしまいます。細菌が増殖しすぎると、頼みの抗菌作用を発揮する唾液では敵わなくなってしまいます。こうして口腔内の「感染症」が引き起こされてしまうという訳です。
歯磨き本来の意義を忘れず、健康維持のセルフケアを心がけることが望ましいと言えるでしょう。

電動歯ブラシの選び方

電動歯ブラシには、さまざまな形態や動きのものがあるので、それぞれの特徴をよく理解した上で、自分に適した電動歯ブラシを選ぶことが重要になります。電動歯ブラシを使用している人の多くは、手用歯ブラシよりも高いプラーク除去効果を期待していますが、専門家の指導に沿った正しい使い方をしないと、その効果に差は出ないと考えられています。手用歯ブラシにくらべて電動歯ブラシは高価な用具となるため、全体の重さ、握りやすさ、使用感、買え歯ブラシの交換のしやすさなども見極めて選ぶと良いでしょう。
電動歯ブラシの刷毛部は、奥歯をより磨きやすくするために手用歯ブラシよりも小さめで、毛の硬さは電動で動くため力の加減が難しいので、やわらかめのものが一般的です。形態は手用歯ブラシと同じ型のものが多いですが、中には円形型や小歯ブラシ型をしたものや、歯周ポケット内を清掃するためによりやわらかい刷毛のもの、細部を清掃するためのワンタフトブラシのもの、歯間部分を清掃するための歯間ブラシ型のものなどさまざまです。スペアブラシも必要になりますが、国産品にくらべて海外でつくられた輸入品には入手しにくい場合もあるので注意してください。
電動歯ブラシの特徴として、ブラシの運動にもさまざまなものがあります。従来の電動歯ブラシは、刷毛部分が往復運動や回転運動、複合的運動をし、その機械的な運動によりプラークを除去しています。歯面に歯ブラシの毛先を当てて、上手に操作することができれば十分な除去効果が得られ、時間の短縮にもなりますが、歯間部の清掃はそこまで得意ではないので、歯間ブラシやデンタルフロスとの併用が必要不可欠です。また、ブラシの振動は、口腔粘膜の良い刺激にもなり唾液の分泌を促す効果がありますが、振動が大きいため、粘膜を傷つけないように注意が必要です。
一方、超音波歯ブラシや音波歯ブラシのように刷毛部が微振動運動をする歯ブラシは、ブラシの機械的な運動に加えて、音波による振動が唾液などの水分を振動させるので、口腔内に微細な小泡を発生させることができます。このおかげで、歯ブラシの毛先の数ミリ先にまでも作用し、より高い清掃公開を得たり、歯周組織を活性化させるとも言われています。
現在、超音波ブラシは市販されていないので、従来の電動歯ブラシと音波ブラシの中から、自分に合ったものを選ぶのが良いでしょう。

手用歯ブラシの選び方

歯ブラシの選択基準として厚生省(現在の厚生労働省)が出した手引きには以下のような事柄が明記されています。
1つ目は、個人の口腔に応じて大きさや形が適当であること。2つ目は、刷毛が乾燥しやすく、適度な弾性と強度があり、先端が鋭くなく、毛束の間隔が適当であること。3つ目に、刷毛の長さは大人用であれば1センチ以上あること。4つ目は、植毛部の形態ができればストレート型であること。5つ目は、把柄は握りやすく、変形、変質しない保水性のないものであること。6つ目は、近代センスにマッチした美しいデザインであること。7つ目は、十分に清潔な状態で包装されていることです。これらを元に、どのような手用歯ブラシを選ぶのが良いかを考えてみましょう。
まず把柄部ですが、材質は耐久性があり、持ちやすく、かつ操作性の良さから考えると、軽量ものが良いでしょう。さらに変形、変質しない非保水性の材質で常に清潔を保てる素材が適しています。一部に滑り止めのラバー素材を使用した歯ブラシもおすすめです。形態は、頭部から把柄部まではストレートであるものが良いでしょう。安定性があり、マッサージなどをする際に回転させやすいものを選んでください。
次に頸部ですが、奥歯や内側の歯まで磨きやすいように細く長く、かつ歯ブラシの毛の先端に力が届きやすくなるようにストレートな形態になっているものがおすすめです。
最後に頭部は、口内清掃がしやすいのは小型のものですが、極端に小さすぎると効率が悪くなるので、ちょうどいい大きさのものを選ぶのがいいでしょう。植毛している台部分の厚さは薄いほど使いやすいため、先端をよりコンパクトにして、奥歯まで頭部が届くように工夫された歯ブラシも市販されています。植毛部分は3~4列のものが水はけもよく衛生的です。1~2列のものは歯周ポケットに入りやすく、毛束と毛束の間隔があいているものは歯間に入りやすいので、目的に応じて選ぶといいでしょう。毛の硬さは、一般的にかため、ふつう、やわらかめの3種類に分けて市販されています。ただし、毛の硬さの表示はメーカーにより差があるのであくまでも目安にしてください。刷毛の材質は、乾燥しやすく衛生的で毛先を均等に揃えることのできるナイロン毛のものが一般的です。天然毛の刷毛は吸水性が高いため不衛生になりがちなのでおすすめしません。
このような注意点を参考に、自分の口腔状態、疾患のあるなし、目的に合った歯ブラシを選ぶことが重要です。